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2021-08-30

_ 15 min rule

最近よく「自分で考える前に聞いてください」と言ってて、これはもともとグーグルに入った時すぐに受けた教えの一つで、同じタイミングで聞いた「社内プレゼンは適当にやれ!」とかと並んで、当時の「お仕事」に対するステレオタイプなイメージと真逆な教えだったので、びっくりしつつも、なるほどなあ、と思ったことの一つ

で、年々その教えの正しさが自分の中で深まっているという感じ。最近になってこれを思う機会が増えているのは、グーグルよりも PFN の方が自力解決を尊ぶ傾向の人が多い気がするからだと思う。よくも悪くも PFN の方がお行儀が良い人が多く、「自力で解決したい」的な意識が高く、この件に関してはそれが悪い方向に働いている、と思っている

https://www.reddit.com/r/MachineLearning/comments/4w6tsv/ama_we_are_the_google_brain_team_wed_love_to/d6diast?utm_source=share&utm_medium=web2x&context=3

によると 15 分ルールというのがあり、(他人の時間をムダにしないため)15分自分で考えて、(自分の時間を無駄にしないため)それでわからんかったら聞け、というものらしい。15分が妥当かは組織によりそうだけど(僕は5分くらいで聞いてくれてオッケーだよと思う)、量的な基準を明示的に挙げるのはとても良いな、と思った。

余談気味だけど、これ聞く方の技術というのも確実にあり、うまい聞き方というのは、一番時間をかけない、ラクな聞き方である、という感覚がある。問題を自分なりに分析して「torchのシンボルが見つからないというコンパイルエラーが出ました」と言われるより単に再現手順とエラーメッセージをドカーとはっつけてくれる方がありがたい(シンボルが見つからんのはたぶんリンクエラーなので、ヘタの考え休むに似たる的な報告文にわざわざしている)。自分なりの解釈があるなら、その後で書けばよろしい、という感じ。まあ自分でも考えたんだけど、て言いたいのはわかるんだけどね

本題に戻って自力解決、最近、「時間がもったいない」以上に気に喰わない感情がある気がするなあ、と思って、なんとなくその理由が、結構功利的なことなんだとわかってきた気がする。ので、なんかちょっと書いてみる

僕は人に聞け聞け言うんだけど、とはいえ僕自身、たぶん結構自力解決が好きで、例えばドキュメントを何度も上から下まで読む、とか、そういう楽しさは、まあまあ知っているつもりだと思う(というかそういう性質がなければ、例えばゴルフにハマったりソロでコンテストに出たりはしない気がする)。なんだけど、仕事で聞けば5分で解決するエラーを、30分かけて仕様書読み返して理解、とかはなんか違う、と思ってしまう

何が違うかというと、前者は(よくないコンテストももちろんあるが基本的に)人工的に作った良問を、じっくり時間をかけて解きましょうという趣旨であり、後者は基本的に野生に存在している問題。現実は作問者としては多くの場合ひどいもんで、大半はとても簡単な問題、簡単でない問題は、解けるかわからない、準備にやけに時間がかかるけど一瞬で解ける、単純作業、苦労して解いてもなんの価値も学びもない、などなど、試験問題としては悪問なんだけど、とにかくそういうのがたくさんある、そんな感じ

自力解決を尊ぶのは、自力解決できるようにならないとダメだ、みたいな考え方があるのかなあ、と想像している。それ自体は正しいことだと思うんだけど、面接とか通ってきているわけで、あなたに自力解決能力があることは証明してもらうまでもなく知ってますよ、って気持ちになる。自力で解決するのがえらい、というのは、大学の学部くらいまでのことなんじゃないだろうか(このへんのノリは不真面目な学生だったので全然わかってないけど……)

なんにせよ、心配しなくても、既に解決されてるとこは人に聞くまくって前線まで来てくれれば、嫌でも解かれてない悪問が大量にあって、手伝ってくれって状況なので、嫌でも自力解決力を示しまくってもらい、今度は逆にこっちがくだらない質問をすることになるので……まあこのへんグーグルとかは人が多すぎて、前線に行ってもあまり問題がなくて奪いあいになってるとかはあった気がするので、やや後ろにいた方が人生として楽しいというのはあったかもしれない……まあ前線に行った方が給料が上がる、くらいは確実に言えることだろうと思う

ドキュメントとかちゃんと整備してないので、知の高速道路とかいう感じではないので、乗合バスくらいの感覚をイメージしてもらうと良いのかな。呼び止められると確かに若干時間をロスするんだけど、ちんたら歩いて来てると「えっ一緒に前線で戦ってくれないの……?」的な気持ちになる感じ。歩くのは本人がムダに大変な割に、周りからすると遊んでるのと変わらなかったりして

まー言うて「なんかそれもう終わった問題なんだけどなあ」的なところも、他の人が見返したら良くなるということもあるわけで、一概にムダとまでは言いづらいところもある。僕とかが「そこは終わった問題だ」と思っている判断も往々にして間違っていて、ちょっと難しいところではある。成長のしかたは人それぞれ、みたいな意味で、あまり意味がなくても自分が興味を持てるところに取り組んだ方が良いということもあるだろうし……

あとなんか、聞かれた時に、他の作業中だと、たぶん「あ、今インタラプトきついな……」みたいなのが、顔に出たりして聞きにくくなってたりしてるだろうな、というのを結構気にしていた。まぁせっかちだし、割り込みはできれば無いほうが良いし、あまりよくできた人間でもないので、なかなか難しい

そのへんはリモートワークになって格段にありがたい。なんせ一番強い質問のしかたでも、せいぜいメンションやらDMなので、今浮動小数大量に眺めてて目を移したくない……て時は無視もできるし、エラーメッセージ読めば瞬殺みたいな質問だった場合に、「なんだこんなことか」的なのが顔に出ちゃう的な心配もないしで。5回に一回くらいはエラーメッセージで瞬殺くらいの問題を聞いてるくらいでいいと思うんだけどね。なんか自明なミスに何故か気付かなくてハマることとか、すごく多いもんだし

一方で聞く側にとっては、恥ずかしい質問の記録が残っちゃうので、敷居が上がっていて大変そうだと思う。そういう意味では、シニアで自己解決ができる人間も、遠慮なく質問垂れ流していって、聞きやすい雰囲気を作るのがいいんだろうと思う(あまり実践できてない気もするが……)。

「自分で考える前に聞いてください」は一見優しい先輩風であるけど、実は逆で、シニアがムダに溜めてる知識とかをうまく使ってさっさと前線に来て、適当に自分の得意なとこ見つけて大活躍してくれると、ラクができるなあ、というのが真の意図なのかな、と。というわけで、「くだらない質問しても良いよ」という許容なのではなくて「くだらない質問しまくってさっさと進んでくれ」という要望なんだな、と、そういうことで自分の中で腑に落ちた

(08:05)

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